日本のペット(犬猫)をめぐる現状について①
今日は、自分で調べたり、色々な方とお話したりする中で見えてきた『日本のペット(特に犬と猫)をめぐる現状』について書こうと思う。
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余談ではあるが、「めぐる現状」と言えば、公務員時代の習慣で「~をめぐる情勢」という資料を思い出す。
行政では、様々な社会的な課題を対外的に説明するため、『~をめぐる情勢』とか『~をめぐる状況』といった資料を作成している。
参考①)畜産をめぐる情勢(農林水産省)(http://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/l_hosin/pdf/meguji_1306.pdf)
参考②)尖閣諸島をめぐる情勢(外務省)
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/index.html)
(※参考にリンクを張りましたが、本筋には全く関係ないため、ここでは読んでいただく必要はありません。)
「こういう資料で、動物愛護に関することをまとめた資料を、環境省が作ってたりしないかな~」
と思って調べたところ、
『動物の愛護及び管理をめぐる現状と課題』(衆議院調査局環境調査室)
という資料を見つけた。
ただしこの資料は230ページもあり、ざっと読むだけでめちゃくちゃ疲れた。
こういう資料を見ても、たぶん一般の人は全くピンとこないと思う。
そこで、自分なりにとらえている現状を書いておこうと思う。
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まず、まだ知らない人の方が多いと思うので、あらためて書いておくと、日本では、一昨年度(平成23年度)に、17万4,742頭の犬や猫が、殺処分された。
(→http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html)
普通の人が聞いたら
「冗談でしょ?」
と思うようなことだが、現実だ。
なお、その前の年は20万頭4,693頭、その前は22万9,832頭が殺処分されている。
「その年だけ特別」ではなく、コンスタントに毎年行われていることだ。
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自分はこの大きな数字を中学生の時に初めて知り、幼心に衝撃を受けた。
「ウソやろ?」
「可愛そうやんか・・・」
「こんなの絶対おかしいやろ・・・!」
子どもらしい普通の感覚だと思う。
初めて「社会の矛盾」を強く感じた出来事だった。
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しかし今はその数字を聞いても心を乱すことはない。
なぜなら、今の自分は、その数字を聞いても動揺しないように、実態をリアルに想像しないようにしているからだ。
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自分は大学時代、獣医学を学んだので、一度実習で犬や猫の殺処分の現場(動物愛護センター)に行ったことがある。
動物の死というものに比較的耐性のある獣医学科の学生であったにも関わらず、現場を目の当たりにすると、その雰囲気に圧倒され、言葉を失った。
20代の頃の脆弱な精神にとって、この問題は真正面から受け止めるには、あまりにも大きすぎ、残酷すぎる問題だったのだ。
やがて、多くの人がそうするように、自分もこの問題については心を閉ざし、口を閉ざすようになった。
何か解決の糸口が見えるならまだしも、問題の構造さえも見えなかったし、何より感情的にそれ以上知りたいと思えなかった。
なお、今でも、この実態を動物に感情移入しながら、リアルに想像したとしたら、たぶん僕は発狂すると思う。
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さて、話がそれてしまったが、日本のペットの殺処分の問題は端的に言うと、
「飼い主のいない犬や猫の数が、日本全体で受け入れることができる犬や猫の数を超えてしまっているため、超えた数はみんな殺されている」
という状態だ。(図はイメージ)
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なので、
「本気で日本における犬・猫の殺処分を0にしたい」
と思うならば、以下のような状態を作り上げる必要がある。
それは、
「飼い主のいない犬・猫の数が、常に、日本が受け入れることができる犬・猫の数を下回っている状態」
だ。
これを現在の日本に当てはめて考えると、
● 「動物愛護センターで殺処分されそうな犬・猫がまず優先的に飼われ」、
● 「それでも足りない動物については、飼い主が直接生産者(ブリーダーさん)にお願いし、依頼を受けたブリーダーさんによってのみ計画的に繁殖がなされる」
という状態である。
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しかし、今の日本では
● 「動物愛護センターで殺処分されそうな犬・猫」はペット選択の第一選択にはなっていないし、
● 飼われる予定があろうとなかろうと、コンスタントにペットは増え続けている
という状態だ。
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このため、この問題に関心のある人のほとんどは、2つのことを強く思っている。
①「これ以上増やさないでほしい」
ということと、
②「これからペットを飼うなら、保護された犬や猫を飼ってほしい」
ということだ。
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書き出すと終わらなくなるので、続きはまた次回書きます。