ニノの日記

二宮尚徳(にのみやひさのり)が思ったことなどを書いています。

『集団的自衛権』について思うこと

 

 昔、大学時代の友人が、

 

「人間関係を良好に維持するためには、「政治」と「宗教」の話はタブーだ。」

 

「「天気」と「野球」の話だけすればいい」

 

と冗談めかして言っていました。

 

 

これは極端な例えではあるけれど、「一面ではそのとおりだな」とも感じます。

 

 

 日常生活の中ではもともと政治や宗教について話す機会も少ないし、話しても大してメリットもなさそうなので、僕はこうした話題を積極的に人としないようにしていました。

 

 

 多くの人にとってもそうなんじゃないでしょうか。

 

 

 そうした中ではありますが、少し思うところがあるので今日はあえて賛否の分かれる「集団的自衛権」についてブログを書いてみようと思います。

 

 

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 今月のはじめ、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する閣議決定がなされました。

 

 

 このことについて、賛否両論があります。

 

 

 フェイスブックなどでも色んな意見が飛び交っています。

 

 

 各新聞の社説も大きく意見が分かれています。

 

 

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 まず自分自身が今回の閣議決定についてどう思うかというと、

 

「イヤだけど賛成」

 

というのが率直な感想です。

 

 

 なぜ「イヤ」かというと、これはおそらく多くの人と同じ気持ちだと思います。

 

 

 僕は自衛隊に対し尊敬と感謝の念を抱いています。

 当然僕はアメリカ軍よりも日本の自衛隊の方が好きなので、わざわざアメリカが関与する案件に、積極的に自衛隊を関わらせ、危険に晒すようなことはしたくない、というのが一番の理由です。

 

 

 ふつうの人であれば、いきなり、

『自国の軍隊を他国の争いに関与させたいですか!?』

と聞かれたら、

そりゃ

『させたくない』

と答えるでしょう。

 

 

では、なぜ憲法解釈の修正に「賛成」するのでしょうか。

 

 

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突然ですが、もし、あなたが日本の内閣総理大臣だったとしたら、

今の日本が置かれている状況に安心できますか?

 

 

僕はあまり安心できないと思います。

 

 

なぜかというと中国政府による軍事行動がとても活発だからです。

 

 

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中国政府は毎年右肩上がりで軍事費を増強しています。

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7500億元は日本円にして12兆2000億円くらいです。

 

その一方で日本は、厳しい財政状況の中、防衛費を抑えてきたこともあり、毎年4.6兆円~5兆円の間で推移しています。

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その結果、両国の軍事力は今はこんな感じになっています。

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これらの資料からもわかるように、中国の人民解放軍は、物量的には圧倒的に日本の自衛隊よりも大きな戦力を保持しています。

 

 

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そして、中国政府は明らかに軍事力を背景とした領土拡張の野心を持っています。

 

● 新疆ウイグル東トルキスタン

 → https://www.youtube.com/watch?v=-OEHLUtYk2U

 

● チベット

 → https://www.youtube.com/watch?v=7TGGJ1UvTDk

 

● ベトナム

 → http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0EK05F20140609

 

また、日本に対しても、国境付近で様々な活動を展開しており、その動きは近年どんどん活発になっています。

 

海からも、

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空からも。

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先月、中国軍機が日本の自衛隊機に異常接近したニュース(http://www.asahi.com/articles/ASG6C5S96G6CUTIL034.html)や、

2010年に中国漁船が日本の海上自衛隊に体当たりしたニュースは記憶に新しいと思います。

 

急激に増強されている中国の軍備に対し、日本もそれなりの措置を講じなければなりません。

 

こうした背景の中で、「日米同盟の強化」は(感情的にはともかく、)現実的には仕方のないことだと思います。

 

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安倍総理は当初『戦後レジームからの脱却』をスローガンに掲げていたため、必ずしも「アメリカ軍による日本の防衛」を心から望んでいるわけではないでしょう。

 

しかし、それでもあえて、憲法の解釈変更による「集団的自衛権の行使容認」を推進したのは、「日米同盟の強化」にはその必要性があると判断したからなのでしょう。

 

 

今回の『集団的自衛権』に関する閣議決定を契機に、日本の安全保障や世界の平和について、多くの人が関心を持つといいな、と思いました。

 

 

 自衛隊の皆さん、防衛省の皆さん、いつも日本のために命をかけて頑張って下さり、ありがとうございます。

 

これからも心から感謝し、応援し続けます。

 

 

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(以下参考:内閣官房HPより「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障体制の整備について」の一問一答)

 

国民の命と平和な暮らしを守ることは政府の最も重要な責務です。我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しています。我が国の安全を確保していくには、日米間の安全保障・防衛協力を強化するとともに、域内外のパートナーとの信頼及び協力関係を深め、その上で、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法整備を行うことが必要なのです。これにより、争いを未然に防ぐ力、つまり抑止力を高めることができます。今回の閣議決定は、このような問題意識で、自民、公明の連立与党で濃密な協議を行った結果に基づき、政府として新しい安全保障法制の整備のための基本方針を示したものです。今後、この方針の下、法案作成を行い、国会に十分な審議をお願いしていきます。


 【問1】 集団的自衛権とは何か?

【答】 集団的自衛権とは、国際法上、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利です。しかし、政府としては、憲法がこのような活動の全てを許しているとは考えていません。今回の閣議決定は、あくまでも国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るための必要最小限度の自衛の措置を認めるだけです。他国の防衛それ自体を目的とするものではありません。

 

 【問2】 なぜ、今、集団的自衛権を容認しなければならないのか?

【答】 今回の閣議決定は、我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しさを増す中、我が国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るため、すなわち我が国を防衛するために、やむを得ない自衛の措置として、必要最小限の武力の行使を認めるものです。

 

 【問3】 解釈改憲立憲主義の否定ではないのか?

【答】 今回の閣議決定は、合理的な解釈の限界をこえるいわゆる解釈改憲ではありません。これまでの政府見解の基本的な論理の枠内における合理的なあてはめの結果であり、立憲主義に反するものではありません。

 

 【問4】 なぜ憲法改正しないのか?

【答】 今回の閣議決定は、国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るために必要最小限の自衛の措置をするという政府の憲法解釈の基本的考え方を、何ら変えるものではありません。必ずしも憲法を改正する必要はありません。

 

 【問5】 国会での議論を経ずに憲法解釈を変えるのは、国民の代表を無視するものではないか?

【答】 5月に総理が検討の方向性を示して以降、国会では延べ約70名の議員から質問があり、考え方を説明してきました。自衛隊の実際の活動については法律が決めています。閣議決定に基づき、法案を作成し、国会に十分な審議をお願いしていきます。

 

 【問6】 議論が尽くされておらず、国民の理解が得られないのではないか?

【答】 この論議は第一次安倍内閣時から研究を始め、その間、7年にわたりメディア等で議論され、先の総選挙、参院選でも訴えてきたものです。5月に総理が検討の方向性を示して以降、国会では延べ約70名の議員から質問があり、説明してきました。今後も皆様の理解を頂くよう説明努力を重ねます。

 

 【問7】 今回の閣議決定は密室で議論されたのではないか?

【答】 これまで、国会では延べ約70名の議員からの質問があり、総理・官房長官の記者会見など、様々な場でたびたび説明し、議論しました。閣議決定は、その上で、自民、公明の連立与党の濃密な協議の結果を受けたものです。

 

 【問8】 今回の閣議決定で議論は終わりなのか?

【答】 今回の閣議決定は、自民、公明の連立与党の濃密な協議の結果に基づき、政府として新しい安全保障法制の整備のための基本方針を示したものです。今後、閣議決定に基づき、法案を作成し、国会に十分な審議をお願いしていきます。

 

 【問9】 憲法解釈を変え、平和主義を放棄するのか?

【答】 憲法の平和主義を、いささかも変えるものではありません。大量破壊兵器、弾道ミサイル、サイバー攻撃などの脅威等により、我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しくなる中で「争いを未然に防ぎ、国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るために、いかにすべきか」が基点です。

 

 【問10】 憲法解釈を変え、専守防衛を放棄するのか?

【答】 今後も専守防衛を堅持していきます。国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを、とことん守っていきます。

 

 【問11】 戦後日本社会の大前提である平和憲法が根底から破壊されるのではないか?

【答】 日本国憲法の基本理念である平和主義は今後とも守り抜いていきます。

 

 【問12】 徴兵制が採用され、若者が戦地へと送られるのではないか?

【答】 全くの誤解です。例えば、憲法第18条で「何人も(中略)その意に反する苦役に服させられない」と定められているなど、徴兵制憲法上認められません。

 

 【問13】 日本が戦争をする国になり、将来、自分達の子供や若者が戦場に行かされるようになるのではないか?

【答】 日本を戦争をする国にはしません。そのためにも、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しくなる中で、国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るために、外交努力により争いを未然に防ぐことを、これまで以上に重視していきます。

 

 【問14】 自衛隊員が、海外で人を殺し、殺されることになるのではないか?

【答】 自衛隊員の任務は、これまでと同様、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるというときに我が国と国民を守ることです。

 

 【問15】 歯止めがあいまいで、政府の判断次第で武力の行使が無制約に行われるのではないか?

【答】 国の存立を全うし、国民を守るための自衛の措置としての武力の行使の「新三要件」が、憲法上の明確な歯止めとなっています。さらに、法案においても実際の行使は国会承認を求めることとし、国会によるチェックの仕組みを明確にします。

 

 【問16】 自衛隊は世界中のどこにでも行って戦うようになるのではないか?

【答】 従来からの「海外派兵は一般に許されない」という原則は全く変わりません。国の存立を全うし、国民を守るための自衛の措置としての武力の行使の「新三要件」により、日本がとり得る措置には自衛のための必要最小限度という歯止めがかかっています。

 

 【問17】 国民生活上、石油の供給は必要不可欠ではないか?

【答】 石油なしで国民生活は成り立たないのが現実です。石油以外のエネルギー利用を進める一方で、普段から産油国外交や国際協調に全力を尽くします。

 

 【問18】 日本は石油のために戦争するようになるのではないか?

【答】 憲法上許されるのは、あくまでも我が国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るための必要最小限の自衛の措置だけです。

 

 【問19】 従来の政府見解を論拠に逆の結論を導き出すのは矛盾ではないか?

【答】 憲法の基本的な考え方は、何ら変更されていません。我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しくなる中で、他国に対する武力攻撃が我が国の存立を脅かすことも起こり得ます。このような場合に限っては、自衛のための措置として必要最小限の武力の行使が憲法上許されると判断したものです。

 

 【問20】 今回の閣議決定により、米国の戦争に巻き込まれるようになるのではないか?

【答】 憲法上許されるのは、あくまで我が国の存立を全うし、国民の命を守るための自衛の措置だけです。もとより、外交努力による解決を最後まで重ねていく方針は今後も揺らぎません。万が一の事態での自衛の措置を十分にしておくことで、却って紛争も予防され、日本が戦争に巻き込まれるリスクはなくなっていきます。

 

 【問21】 今回の閣議決定により、必要ない軋轢を生み、戦争になるのではないか?

【答】 総理や大臣が、世界を広く訪問して我が国の考え方を説明し、多くの国々から理解と支持を得ています。万が一の事態での自衛の措置を十分にしておくことで、かえって紛争も予防され、日本が戦争に巻き込まれるリスクはなくなっていきます。

 

 【問22】 今回の閣議決定によっても、結局戦争を起こそうとする国を止められないのではないか?

【答】 日本自身が万全の備えをし、日米間の安全保障・防衛協力を強化することで、日本に対して戦争を仕掛けようとする企みをくじく力、すなわち抑止力が強化されます。閣議決定を受けた法案を、国会で審議、成立を頂くことで、日本が戦争に巻き込まれるリスクはなくなっていきます。

 

 【問23】 武器輸出の緩和に続いて今回の閣議決定を行い、軍国主義へ突き進んでいるのではないか?

【答】 今回の閣議決定は戦争への道を開くものではありません。むしろ、日本の防衛のための備えを万全にすることで、日本に戦争を仕掛けようとする企みをくじく。つまり抑止力を高め、日本が戦争に巻き込まれるリスクがなくなっていくと考えます。

 

 【問24】 安倍総理はなぜこれほどまでに安全保障政策が好きなのか?

【答】 好き嫌いではありません。総理大臣は、国民の命、平和な暮らしを守るために重い責任を負います。いかなる事態にも対応できるよう、常日頃から隙のない備えをするとともに、各国と協力を深めていかなければなりません。

 


自衛の措置としての武力の行使の新三要件

 

○ 我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
 
○ これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
 
○ 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと