ニノの日記

二宮尚徳(にのみやひさのり)が思ったことなどを書いています。

日本のペット(犬猫)をめぐる現状について①

 

  

 

  今日は、自分で調べたり、色々な方とお話したりする中で見えてきた『日本のペット(特に犬と猫)をめぐる現状』について書こうと思う。

 

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 余談ではあるが、「めぐる現状」と言えば、公務員時代の習慣で「~をめぐる情勢」という資料を思い出す。

 

 行政では、様々な社会的な課題を対外的に説明するため、『~をめぐる情勢』とか『~をめぐる状況』といった資料を作成している。

 参考①)畜産をめぐる情勢(農林水産省)(http://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/l_hosin/pdf/meguji_1306.pdf

 参考②)尖閣諸島をめぐる情勢(外務省)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/index.html

 (※参考にリンクを張りましたが、本筋には全く関係ないため、ここでは読んでいただく必要はありません。)

 

 「こういう資料で、動物愛護に関することをまとめた資料を、環境省が作ってたりしないかな~」

と思って調べたところ、

『動物の愛護及び管理をめぐる現状と課題』(衆議院調査局環境調査室)

という資料を見つけた。

 ただしこの資料は230ページもあり、ざっと読むだけでめちゃくちゃ疲れた。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Shiryo/kankyou_201208_dobutsuaigo.pdf/$File/kankyou_201208_dobutsuaigo.pdf#search='%E7%92%B0%E5%A2%83%E7%9C%81+%E5%8B%95%E7%89%A9%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8B')←興味のある人は読んでみてください。

 こういう資料を見ても、たぶん一般の人は全くピンとこないと思う。

 そこで、自分なりにとらえている現状を書いておこうと思う。

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 まず、まだ知らない人の方が多いと思うので、あらためて書いておくと、日本では、一昨年度(平成23年度)に、17万4,742頭の犬や猫が、殺処分された。

(→http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

 

 普通の人が聞いたら

「冗談でしょ?」

と思うようなことだが、現実だ。

 

 なお、その前の年は20万頭4,693頭、その前は22万9,832頭が殺処分されている。

 「その年だけ特別」ではなく、コンスタントに毎年行われていることだ。

 

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 自分はこの大きな数字を中学生の時に初めて知り、幼心に衝撃を受けた。

 

 「ウソやろ?」

 「可愛そうやんか・・・」

 「こんなの絶対おかしいやろ・・・!」

 

 子どもらしい普通の感覚だと思う。

 

 初めて「社会の矛盾」を強く感じた出来事だった。

 

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 しかし今はその数字を聞いても心を乱すことはない。

 

 なぜなら、今の自分は、その数字を聞いても動揺しないように、実態をリアルに想像しないようにしているからだ。

 

 

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 自分は大学時代、獣医学を学んだので、一度実習で犬や猫の殺処分の現場(動物愛護センター)に行ったことがある。

 動物の死というものに比較的耐性のある獣医学科の学生であったにも関わらず、現場を目の当たりにすると、その雰囲気に圧倒され、言葉を失った。

 

 

 20代の頃の脆弱な精神にとって、この問題は真正面から受け止めるには、あまりにも大きすぎ、残酷すぎる問題だったのだ。

 

 やがて、多くの人がそうするように、自分もこの問題については心を閉ざし、口を閉ざすようになった。

 

 何か解決の糸口が見えるならまだしも、問題の構造さえも見えなかったし、何より感情的にそれ以上知りたいと思えなかった。

 

 なお、今でも、この実態を動物に感情移入しながら、リアルに想像したとしたら、たぶん僕は発狂すると思う。

 

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 さて、話がそれてしまったが、日本のペットの殺処分の問題は端的に言うと、

 

「飼い主のいない犬や猫の数が、日本全体で受け入れることができる犬や猫の数を超えてしまっているため、超えた数はみんな殺されている」

 

という状態だ。(図はイメージ)

  

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 なので、

「本気で日本における犬・猫の殺処分を0にしたい」

と思うならば、以下のような状態を作り上げる必要がある。

 

 それは、

「飼い主のいない犬・猫の数が、常に、日本が受け入れることができる犬・猫の数を下回っている状態」

だ。

 

 これを現在の日本に当てはめて考えると、

● 「動物愛護センターで殺処分されそうな犬・猫がまず優先的に飼われ」、

● 「それでも足りない動物については、飼い主が直接生産者(ブリーダーさん)にお願いし、依頼を受けたブリーダーさんによってのみ計画的に繁殖がなされる」

 

という状態である。

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 しかし、今の日本では

● 「動物愛護センターで殺処分されそうな犬・猫」はペット選択の第一選択にはなっていないし、

● 飼われる予定があろうとなかろうと、コンスタントにペットは増え続けている

という状態だ。

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このため、この問題に関心のある人のほとんどは、2つのことを強く思っている。

①「これ以上増やさないでほしい」

ということと、

②「これからペットを飼うなら、保護された犬や猫を飼ってほしい」

ということだ。

 

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 書き出すと終わらなくなるので、続きはまた次回書きます。 

 

 

ここ3か月を振り返って

 

 すっかりブログを書く期間が空いてしまったが、ここ3か月間、色々なことがあったので、これまでの出来事のまとめと、これからのことについて書こうと思う。

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 まず、自分は平成25年3月末に前の職場を退職したあと、4月、5月、6月と3か月間、いろんな人に会って回っていた。

f:id:hisa0621:20130522160844j:plain その目的は、

①実際のところ、日本におけるペットの殺処分をとりまく社会の実態がどうなっているのかを知るため

と、

②そこに関わっている人の思いを知るため

と、

③知り合った人に、その時点での自分の考え方を伝えて、フィードバックをもらうため

と、

④これからの活動に協力してくれそうな仲間を探すため

だ。

 

 ありがたいご縁があり、色々な人に会うことができた。

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 この3か月で出会った人は、

● 獣医師(約50名)

● 行政関係者

● 動物の保護活動をされている方

● そうした活動を支援されている方

● 様々なジャンルで活躍されている方で、動物を助けるために何かしたいと考えている方

などだ。

 短期間の間で、これだけ大勢の人にお会いして話をするというのは生まれて初めてだったので、とても新鮮な毎日だった。

 色々な方の、色々なお話が聞けてとても勉強になった。

 また、漠然としたビジョンではあるが、自分のやろうとしていることをお話したところ、概ね皆さんが好意的な反応を示してくださり、中には協力を申し出て下さる方もいらっしゃった。

 本当に心強いし、心からありがたいと思う。

 多くの方からお話を伺う中で、自分なりに思うところが増えてきたので、これからそれを順番にブログに書いていこうと思う。

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 いっぱい書きたいことがあるのだが、全部書くと長くなってしまうので、次回から小分けにして書きたい。

(予定)

・次回

 色々な人とお話する中で見えてきた『日本の犬猫をめぐる現状について』

・次々回

 あらためてゆっくりと自分と向き合う中で少しずつ見えてきた『その問題に挑む理由について』

・その次

 本気で日本から殺処分をなくすために、『これから何をするのか』

・できれば

 『その先に描く日本の姿』も書きたいと思う。

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 なお、余談ではあるが、ここ3か月ほどの自分を顧みて、「公務員時代の悲しき習性で文章を推敲すぎてしまっている」ということに気が付いた。

 つまり、一度ブログを書いても

「あれ?この文言おかしくないか?」とか

「これってロジックおかしいんじゃないの?」とか

「わかりにくいのでは・・・」とか、余計なことを色々考えてしまい、結局いつまでたっても文章が完成できないのだ。(下書き中のブログが10記事くらいある)

 

 …というわけで、次回からは特に何も考えずに思いつくままに書きます。

 乱筆等ご了承ください(^_^;

むらいさん【ちょっと政治の話】

 

僕は『政治家』という人が少し苦手だった。

 

僕が子どもの頃、小学校で勉強していると、外から自分の名前を連呼している人の声が聞こえてきて、とてもうるさいなあ、と感じていた。

 

その後、成長してからも、政治家の人とは大して関わりがなく、特に印象は改善することはないままだったが、大学卒業後、公務員になったおかげで、政治家という人がどういう仕事をしているのか、少しわかるようになった。

 

ちなみに今でも政治家には若干苦手なイメージを持っているが、その人の言っている内容が妥当なことかどうか、自分で判断できるようにはなったと思う。

 

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26歳のとき。

 

晴れて農林水産省に入省した僕が最初に配属されたところは、生産局の畜産企画課(※)というところだった。(※ 日本の畜産政策の企画・立案とかを行うところ)

 

 課の中には3~5人ごとに仕事を分担する「班」というチームがあり、僕が配属された「総務班」には、財務省から出向していた村井さんという人がいた。

 

 歳は自分より一つ上で、性格は明るく、色んなことを知っていて、とても仕事のできる人だった。他の先輩たちと一緒に僕に仕事を教えて下さった恩人の一人だ。

 

 村井さんは農林水産省で仕事をした後、アメリカに留学し、帰国後、財務省を退職された。

 

 国会議員になるためだ。

 

 在職中からずっと「僕は国会議員になる」と言い続け、昨年の選挙でついにその言葉を現実のものにした。

 

 村井さんは人当たりがよく、ユーモアもあり、フランクな感じだったが、彼の言葉には不思議な説得力があり、「いつか本当に政治家になるんだろうな」という感じがした。

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 たまにホームページのブログを見ているのだが、先日、「国会で初質問しました」との記載があったのでさっそく見てみた。

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=42652&media_type=

 (村井英樹(自由民主党))

 

消費税の軽減税率(※)についての質問だった。

 

(※ ちなみに『軽減税率』というのは、

『消費税を●%上げます。

 そりゃイヤですよね。

 でも、ご安心ください。

「皆さんにとって大切なこの商品」については、上げませんから。』

 という話だ。

 

 『低所得者を助けるため』と、なんとなく聞こえはいいが、

・ 消費税の税収が下がってしまううえ、

・ 事務的な手間が増え、行政コストがかかり、

・ さらに、民間の対策コストもかかる

・ 極めつけは本来の目的を達成しない(低所得者対策になっていない)可能性さえある

 一部のメディアは、『なんとなく弱者に優しそうだから』というイメージで

導入を叫んでしまうが、本当にそうなんでしょうか?

 という問題提起でした。)

 

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(村井さん) 

「私がなぜこの軽減税率の問題にこだわるのかというと、私は、(この論点が)我が国の政治が乗り越えなければならない問題の象徴であると思うからであります。」

 

「高度経済成長の時代が終わって「果実の分配」の時代から、「負担の分配」の時代に入ったわけであります。」

 

「政治家は、不都合な真実であっても有権者の前で語る勇気が求められる。しかしながら、今の選挙制度のもとでは、(政治家は)いつ落選するかもわからないわけですから、どうしてもそこから逃げたくなる。」

 

「しかしながら、今我々政治家に求められていることは、たとえ痛みを伴う施策であっても、有権者の前で正々堂々と語って、そしてまた、納得を得るという、民主主義の原点に立ち返るということなんだと思います。」

 

「本当に必要な政策が実行に移されるのであれば、私自身が落選しても、それは全く不幸なことだと思いません。」

 

不都合な真実であっても、全てを有権者の前にさらけ出して、必要な政策を前に推し進めていく、そういう時なんだと思います。」

 

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まさにおっしゃる通りだと思った。

世の中には『見たくない現実』、『不都合な真実』はいくらでもある。

そりゃ、誰だってそんなもの見たくはないし、聞きたくもない。

 

でも、知ってしまった以上、誰かがやらなくちゃ、それは変えられない。

変えられなければ、その現実はどっかのだれかにしわ寄せがいくだけだ。

(財政の問題は未来のこどもたちへ)

 

そして、それを変えられるのは『そのことを知っている人』だけだ。

 

 

 

村井さんは政治家になっても志は変わっていなくて嬉しかった。

その気持ちを忘れず、これからもがんばってください。

応援してます。

 

※ ちなみに自民党の『カフェスタ』というフランクなトーク形式の番組動画でも同様の話をされていて、こっちの方がわかりやすかった。

→ http://www.jimin.jp/activity/movie/0ch_cafe_sta/

(2013年04月24日『CafeSta』もっと新人衆議院議員紹介☆司会:小林史明議員 ゲスト:小島敏文議員・村井英樹議員・山下貴司議員(2013.4.24) の18:23~37:30)

みなさんメッセージ本当にありがとうございました

 

 

 

今回、「職場を去って夢を目指します」と意思表明したわけだけど(過去の日記『農林水産省を退職しました』参照http://hisa0621.hatenablog.com/entry/2013/03/31/000125)、本当に本当に多くの皆さんから激励の言葉や応援のメッセージをいただいた。

 

フェイスブックのコメントやメッセージ、職場のメール、個人のPCのメール、携帯のメール、LINE、そして直接の激励などなど。

どれも嬉しくて、一人でこっそり涙した。

 

ここには書ききれないくらいのメッセージ。本当に一生の宝だ。

 

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平成19年入省の同期たちは大江戸温泉で送別会をやってくれ、餞別に寄せ書きとネクタイをくれた。

このネクタイ、ここぞというときに装着させていただきます。

そして寄せ書きは辛くなったときに読み返します。

お前ら、元気でな!

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(再来週同期の結婚式でまた会うけど!)

 

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職場の班長はご自宅に招いて送別会をしてくださった。

先日後任への業務引継ぎで職場に行った時もあたたかく迎えてくださり、すごく安心感があった。

人手が足りない時はいつでも呼んでください!

(暇だったら)手伝いに行きます!

 

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水産庁時代の修羅場を一緒に潜り抜けた戦友のような先輩は、一緒に働いていたころ、ささやかな楽しみとして職場のみんなで買って楽しんでいた、塩パイ(シェ・リュイ)を1袋くださった。粋な選別だ。

あのころが懐かしいですね。

いつかオシャレなご自宅に遊びに行かせてください!

 f:id:hisa0621:20130403111046j:plain 塩パイ(シェ・リュイ)

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以前近くで仕事をさせていただいた省内幹部にもご挨拶に行った。
おそるおそる

「お世話になりました」

と伝えると、少しさみしそうに、優しい笑顔で、

「うん、うん。わざわざ言いに来てくれてありがとうな。これからも進捗おしえてくれよな。体に気を付けてな。」

と言ってくださった。

ありがとうございます!節目節目でご報告させていただきます!

 

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昔同じ課で仕事をしていた(当時)怖かった先輩からも、

「二宮くんは昔に比べかなり成長したと思っていたから非常に惜しいが、その覚悟には尊敬する」

と言っていただけた。

当時、自分の仕事のできなさっぷりに情けなさを感じていたので、その言葉は本当に心に染み入り、とても嬉しかった。

育ててくださってありがとうございました!これからもよろしくお願いします!

 

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大学時代の友人や先輩、後輩たちからは、

「自分も同じ気持ちだ」

「応援する」

といったメッセージを本当にたくさんいただいた。

テーマがテーマだけに、大学時代はオープンに話し合うことはなかったけど、みんな同じ気持ちだったんだと、再確認できた。

卒業後に出会う機会が減り、少し疎遠になっていた仲間たちとも、この機会に社会貢献を通じてつながれたら嬉しい。

みんな本当に心強いメッセージをありがとう!

 

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他にも数えきれないくらいの人から色んなメッセージをいただいた。

まだ何をやるかもわかっていないのに出資を申し出て下さる方もいた。

あらためて、本当に自分は多くの人に支えられて生きているんだな、と実感した。

 

まだ何も達成していないけど、早くも

「わが人生に一片の悔いなし」

と思ってしまった。

(すぐに「いや、まだ早い」と訂正した)

 

みなさん、本当にありがとうございます!

めっちゃやる気になりました!!

 

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さて、新しい生活が始まって、いよいよ夢を目指すことになったわけだが、具体的に何をしていくか。

 

今自分には漠然とした大枠のイメージがある。

 

これをブラッシュアップして、4月の末から5月の上旬には公表できるような形にしたいと思っている。

 

そのために、4月中は、大学時代の友達・先輩・後輩(獣医師)や、税理士・会計士、法律家、広報のプロ、デザインのプロ等にアポを取って話をしに行こうと思っている。

 

今時点では、漠然と、

「誰が得をするわけでもないけど、みんながHappyになるだけで自動的に社会をよくし続けるしくみ」

みたいなのをイメージしている。

 

さてさて、これからどうなるのか。

よくわからんけど何とかなりそうな気がするぜ!

みなさん、これからもどうぞよろしくお願いします!

心と音楽

 

懐かしい曲を聴くと、それをよく聴いた頃の気持ちが蘇ることがある。

 

音楽には、心のどこかに残っている感情を、引き出してくれる力がある。

 

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今回、仕事を辞めるにあたって、多くの方から、「その計画はいつから考えていたの?」

と、聞かれるが、実は自分でもよくわからない。

 

3.11の震災がひとつの契機になったとは思うけど、当時は自分に与えられた震災復興の任務を全うすることしか考えていなかった。

 

子どもの頃からの夢だったとはいえ、長い間考えないようにしていたし、学生時代もそんなに強く意識することはなかった。

まして、就職する頃にはそんなこと全く考えていなかった。

 

ここ1年で急激に物事が進んだような感じだ。

 

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ところで、自分の机の前には、『蘇生』という曲の歌詞カードが貼ってある。

 

この曲は、大学時代に出会った大好きな曲の一つだが、思えばここ1年くらい、よくこの曲を聞いていた。

 

この曲は歌詞がどこかつかみどころがなく、何か大きなものを感じさせるような印象を持っていた。

 

長い間、「よくわからないけど何か好き」という感じで、たまたまこの時期に再会し、よく聞いていた。

 

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今日、改めてこの曲を聴いた。

この曲が好きだった理由や、歌詞のイメージがなんとなくわかったような気がした。

 

きっと、意識はしていなくても、一度抱いた強い気持ちは心のどっかにずっと残っているんだろうな。

 

 

 

日本を良くする方法(Social Market(案))

 

 最近、日本の財政状況をみていると、どうもこれ以上行政が社会的なサービスを増やしていけるような状況にはないように思う。

https://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014_2409.pdf

 

 でも、これから先、高齢化に伴う社会保障費の増加や、貿易の自由化に伴う農業対策費の増加など、引き続き(今まで以上に?)社会的なサービスの需要は増しそうだ。

 

 ではこれからどうやって社会を良くしていくのか。

 

 ・・・ということを、考えていたら面白いことを思いついた。

 誰かのアイデアとかにつながっていくといいなあ。

 

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 「Social Market(案)」

 

 最近、株式会社がCSRとして社会貢献活動を行ったり、NPO法人が社会貢献事業を行ったりと、民間企業も社会貢献事業の担い手として活躍している。

 つまり、「官だけでなく民も」という流れだ。

 これらは「新しい公共」とも呼ばれている。

 そして、まだまだこうした活動は拡大する余地がある。

 そこで、これらの取り組みを爆発的に促進するアイデアとして、「Social Market」という考え方を思いついた。

 

 これは、どういうものかというと、「良識ある消費者たち」で、大きなマーケットをつくり、CSRや寄付など社会貢献に力を入れている企業のサービスを積極的に選ぼうという運動だ。

 これにより、「社会貢献したほうが儲かる」という状況を作り出し、企業間で社会貢献の度合いを競い合うようにする。

 その結果、企業は本来の営利事業以外に、非営利の社会貢献活動も積極的に行うようになり、税金を使わずとも自然に世の中がよくなっていく。そんなイメージ。

 

 最近はFacebooktwittermixiなど、いろんな共感のツールが整っている。

 なので、意外とこうした取り組みは簡単にできてしまうのではないだろうか。

 

 例えば、Facebookで「Team Social Market」というグループを作り、そこに口コミで2,000万人くらい参加者を集める。

 この中で、CSR事業や寄付など社会貢献活動を行っている企業を評価し、互いに紹介し合い、高い評価の企業をみんなで消費者として全力で応援する。

「どうせ○○買うんなら、普通、☆☆(会社)の商品を選ぶよね」

 という感じで。

 そうすれば、そのマーケットに選ばれようとして、企業間で社会貢献の質や量が競われ、やがて、世の中は民間企業が社会貢献に力を入れるのが当たり前となり、社会貢献が充実した企業だけが残るようになる。

 

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 思えば、今の政治体制を一般人である有権者たちが作ってきたように、今の経済状況も一般人である消費者たちが作ってきた。

 なので、まず、普通の人である僕たち消費者が変われば、世の中がよくなる。

 

 そしてそれが日本に根付き、日本は民間が自発的に世の中を良くしようとし、日本が資本主義経済の発展型として世界のお手本となる・・・

 、といいなあ。

 

 ちなみに「ペットの殺処分の問題」は、

・ 日本にもペット好きはかなり多いこと

 (飼育世帯だけで犬約960万世帯、猫約590万世帯)

・ 普通に考えて、誰にとっても嫌な問題であること

などから、非常にSocial Marketと親和性の高い問題のように思う。

 

 もし、日本の動物好きの皆さんの共感を集めて、まず、ペット殺処分の問題をSocial Marketをつくることで解決できれば、他の社会問題の解決のモデルケースになるんじゃないだろうか。

 

 ・・ということを今日考えていた。

農林水産省を退職しました

 

 このたび、6年間勤めてきた農林水産省を退職し、動物を保護する活動を始めることを決めました。

 これからは心の一番奥にある思いにしたがって生きていこうと思います。

 いつかまた振り返るときのため、退職あいさつメールを日記に残しておきます。

 

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【退職の挨拶】

 

皆様

 生産局畜産部食肉鶏卵課の二宮です。

 突然のご報告となってしまい恐縮ですが、僕は明日をもって農林水産省を退職します。

 本来であれば、お世話になった全ての方に直接お礼を申し上げるべきところを、一部の方におかれてはメールでのご挨拶となってしまうことを何卒ご容赦ください。

 退職後は、唐突ですが、動物愛護に関する活動を行っていこうと考えています。

 以下、今の思いと、退職後やろうとしていることについて綴らせていただきました。

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 退職を前にすると、やはり今までの出来事が思い出されます。

 学生の頃、理系の一学生だった私は、かなり世間知らずで、農林水産省がどんな仕事をしているのか実はよくわからないまま、「日本を良くしてやるぜ」という思いと勢いだけで受験しました。

 僕の実家の仏間には軍服姿の青年の写真が飾ってあり、なんとなく、ご先祖様は国のために貢献されたんだな、と思いながら育ったことや、大学時代に初めて行った海外旅行で日本を外から見た経験などによって、知らぬ間に愛国心が醸成されていたようです。

 

 「中央省庁はきっと国をよくするために何かスゴイことをやっているはずだ。自分も国のために自分の人生を使いたい。」

 

 かなり大ざっぱな志で門をたたきました。

 

 運良く入省できましたが、想像に違わぬ忙しさで、入省当時は次から次へと送られてくるメールと、どんどん進んでいく周囲の会話について行くのがやっとでした。

(というか、あまりついて行けませんでした。)

 

 入省当時の平成19年、じわじわと上昇する原油価格と、それに伴い上昇する穀物の国際価格を眺めながら、部内の皆が日本の畜産業への影響を気にする毎日でした。

 高騰した配合飼料価格の畜産への影響を緩和するための対策が検討され、国会での審議を経て措置されました。

 一連の過程を通じ、国の政策がどのように決まっていくのかを(毎日の残業でフラフラになりながら)学びました。

 

 社会人3年目には鹿児島県に出向し、地方行政の仕組みを学びました。

 鹿児島で出会った多くの方とふれあう中で、みなさんの地元への愛情と、地方の暮らしの豊かさを知りました。

 鹿児島県生活2年目の平成22年には、隣の宮崎県で口蹄疫が発生しました。

 口蹄疫ウイルスの鹿児島県への侵入を阻止するため、県境付近の道路で夜通し雨の中車両の消毒を行ったことも今となっては懐かしい思い出です。

 

 2年間の出向任期が終わり、霞ヶ関に戻ることを意識しだしたその年の3月、あの震災が発生しました。

 

 県庁のテレビで、同じ国の離れた場所で、津波が全てを包んでいく様子を、何もできずに見ていました。

 

「一人でも多くの人が助かって欲しい」と願うと同時に「津波が直撃した原発はどうなるのだろうか」、「震災の影響を受けた日本の経済はどうなるのだろうか」など、その先にある未来に恐怖も感じていました。

 

 そして次第に、「ここでやらなきゃいつやるんだ」という強い気持ちがわいてきて、少しでも震災からの復興に貢献したいという思いで東京に戻りました。

 

 震災直後に配属となった水産庁では、原発事故の影響を懸念した諸外国が、日本の水産物の輸入を規制する中、日本からの輸出を再開させるための業務に当たりました。

 毎日のように朝の4時まで仕事をし、帰宅して猫にご飯をあげ、シャワーを浴びて2時間だけ寝て、また出勤する。そんな日々も、気合いで乗り切りました。

 

 1年と4ヶ月の水産庁勤務を経て、現在の職場、畜産部食肉鶏卵課に戻ってまいりました。

  働いていると、とても充実し、長く感じた毎日でしたが、今振り返るとあっという間の6年間だったようにも感じます。

 

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 これまで、仕事に一生懸命取り組んでました。

 仕事には愛着もあるし、待遇面には何ら不満はありません。

 

 しかし、震災や親しい人との別れに触れる中で、「自分の生きる意味」について考える機会が増え、もう一度自分の夢に挑戦したいという気持ちになりました。

 

 

 自分には子どもの頃からの夢がありました。

 僕の夢は、日本のペットの殺処分を無くすことでした。

 現在日本では、飼い主のいない犬や猫が毎年約20万頭、地方自治体の動物愛護センター等(いわゆる”保健所”)で殺処分されています。

 子どもの頃からなんとかしたいと思っていましたが、どうしたらこの問題を解決できるのか全くわかりませんでした。

 

 大学は獣医学科に進学し、動物を助けたいと思いましたが、やはり、どうすればいいかわかりませんでした。

 

 自問自答の末、多くの人がそうするように、自分はその夢を諦めました。

 

 多かれ少なかれ、人間は動物を犠牲にして生きているのだから、そんな幼い考えは捨てよう

 どうせ解決できないのであれば、あえて闇の部分に目を向ける必要はない

 かわいそうだと思うが自分には関係ない

 

 自分はそう考えました。

 そう考えることが、大人としての正しい選択だと思いました。

 

 その一方で、昔から目指していた『動物を助ける』という目標を失い、新しい目標が必要だったので、自分は『人の幸せ』を追求することにしました。

 

 ペットや家畜、実験動物など、動物は様々な形で人の幸せのために命を提供してくれています。

 獣医学科では動物の命によって人の幸せを最大化することを学びました。

 だから、自分は最も人を幸せにする仕事に人生をつかおう。

 

 そう考え、僕は農林水産省に入省しました。

 人間が生きる上で必要不可欠な、畜産物をはじめとする食料を国民に供給する職場です。

(ちなみに、当時メディアにたたかれながらも黙々と仕事をし続ける姿に、あこがれるような気持ちもありました。)

 

 今まで6年間、部署を変えながら、一貫して、少しでも日本という国を良くしたいという気持ちで仕事を頑張ってきました。

 

 今でもその気持ちは変わっていません。

 

 でも、やはり夢を諦めることはできませんでした。

 

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 確かに動物が殺処分されても、自分の生活や日本の経済には何の影響もありません。

 でも、誰にも知られることなく、感情を持った小さな命が淡々と人の手により殺されていく。それは本当にいい国なんだろうか。

 仮に、他のあらゆる社会問題が解決されたとしても、見えないところでそれが行われていく国は、本当にいい国なんだろうか。

 行政に仕事を押し付けて、(本当は殺処分を担当している公務員も動物が好きな獣医師で、辛い思いを押し殺して仕事をしていることを知っているのに)、他人事のように何も考えなくて本当にいいのだろうか。

 公務員として、日本のあるべき姿について考えると、「関係ない」のに、この問題についても考えてしまいました。

 

 考えても仕方がないことはよくわかっているのですが、それでも考えてしまいます。

 

 本当はそれでいいわけがないことを知っているからです。

  

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 日本は総じていい国です。

 豊かな自然に恵まれ、豊かな食文化に恵まれ、誠実で穏やかな国民性があり、経済発展も達成している、自分の中では世界で一番いい国だと思っています。

 そして、もっと日本を良い国にしたいと思います。

 なので、自分は、この問題に挑戦することに決めました。

 この問題を解決することにどんな意味があるのかはわかりませんが、この問題をもし解決することができれば、自分が「生きた意味があった」と言えるような気がします。

 遅かれ早かれこの問題に挑むのであれば早いほうがいいだろうと思い、このたび退職を決意しました。

 やるからには自分の全てをかけて挑みます。

 

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 かつて自分は20万頭という大きな数字に圧倒され、この問題に挑むことを諦めました。

 しかし、農林水産省で6年間働いた今、自分はこの問題は解決できると確信しています。

 おそらく本気で日本のペットの殺処分をなくすとすれば、あらゆる対策を講じなければならないと思いますが、現在自分が一番必要だと感じていることは、

『一般の人が、気軽に動物愛護に参加できる環境づくり』だと考えています。

 

 日本にはたくさんの動物が好きな人がいます。

 当然その中の多くの人がこの問題に強い問題意識をもっています。

 しかし、実際に活動している方はそのうちのごく一部で、その方たちに負担が集中しています。

 結果、活動が苦しいものとなり、一般の人が参加することをためらってしまうなど、負の循環があるように思います。

 

 なので、各分野のプロフェッショナルを含む多くの人の力を少しずつ集め、みんなが負担感なく、気軽に動物愛護に携われる環境をつくることができれば、こうした状況は改善されていくはずです。

 漠然としていますが、そんな仕組みを作りたいと思います。

 

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 一公務員の自分には、経営のノウハウを含め、現時点で色々なことがわかりません。

 でも、これから模索しながらやっていきます。

 走りながら考えます。

 

 失敗するかも知れませんし、笑われるかも知れません。

 でも、自分が一番願っていることに一度も挑戦せず、諦めることだけはしたくありません。

 なので、全てを承知で決めました。

 やると決めて、諦めずにやり続ければ、いつかは叶う、と信じています。

 

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 平成19年の入省後、皆様には大変お世話になりました。

 同じ職場の一員として仕事ができ本当に楽しかったです。

 辞めることを決めておいてなんですが、僕は農林水産省という職場とみなさんが大好きです。

 お世話になり育てていただいた皆様には、最後までこの職場で勤め上げられないことをとても申し訳なく思いますが、別の立場からこの国に貢献することでそのご恩に報いることができればと考えています。

 突然のご報告となり驚かせてしまい申し訳ありませんでした。

 そして長文メールをお読み下さりありがとうございました。

 働く場所は変わりますが、皆さんと出会えたご縁を大切にしたいと思いますので、これからも、末永くどうぞよろしくお願いいたします。

 本当に、今までありがとうございました。

 二宮 尚徳